2018/3/8 名古屋ウィメンズマラソン展望<2>
名古屋で日本人2位&2時間23分台の小原と清田
指導者2人が語る今年の名古屋へのスタンス

 小原怜(天満屋)と清田真央(スズキ浜松AC)の2人は、名古屋で日本人2位をとっている。小原は2年前に2時間23分20秒で、田中智美(第一生命グループ)に1秒差だった。清田は昨年2時間23分47秒で、安藤友香(スズキ浜松AC)に2分11秒差である。
 普通に考えて、悔しさが大きかったのは小原だろう。ライバルチームの田中に1秒差で敗れ、リオ五輪代表を逃した。一方、清田が敗れた安藤は同じチームの同学年選手で、ロンドン世界陸上代表には一緒に選ばれている。

小原のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 日本人順位 記 録
1 2015 3.08 名古屋ウィメンズ 119   3.05.21.
2 2016 3.13 名古屋ウィメンズ 3 2 2.23.20.

清田のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 日本人順位 記 録
1 2016 3.13 名古屋ウィメンズ 4 3 2.24.32.
2 2017 3.12 名古屋ウィメンズ 3 2 2.23.47.
3 2017 8.06 世界選手権 16 1 2.30.36.

 しかし今大会に強気の目標を持って臨むのは清田の方。タイム的には2時間22分30秒を掲げる。杉山一介コーチは「そこは本人の意思。清田は初マラソンからずっと、2時間22分30秒を目標にやってきました」という。
 だがタイムよりも、本当に重視しているのは「攻めの姿勢」だ。昨夏のロンドン世界陸上(16位)の反省もある。
「世界陸上は勝負するというよりも、付かなきゃ、付かなきゃ、と少し後ろ向きな気持ちになっていました。集団から離れないように、という部分に意識が行ってしまっていた」
 帰国後の練習が思うようにいかず「焦り」(杉山コーチ)が出た時期もあったが、もう一度世界を目標に、東京オリンピックやMGCを見据えて切り換えられたという。

 だが、10月の国体では7位入賞をしたが、12月の山陽女子ロード(ハーフ)は1時間14分43秒で39位と低調だった。
「山陽女子ロード前の徳之島合宿では例年以上に距離も走り、質も高めていました。しかし、その分疲労もあった。山陽が思った以上のハイペースになり、焦ってしまったのだと思います。本人の中でも良い合宿ができたという気持ちがあったので、そのギャップを感じたことも焦りにつながった。結果は心配しなくていいことだと大会後に話し合いました」
 1月の全国都道府県対抗女子駅伝9区10kmは、32分18秒で区間9位と立て直した。
 合宿でも「ここ1カ月くらいはしっかりできています。例年と遜色ないし、去年より上がっている部分もある」と、自信を持って3年連続の名古屋に臨む。

 攻めの気持ちは、マラソンで世界と戦うことを重視し始めたときから、スズキ浜松ACがずっと持ち続けたチームとしての姿勢でもある。
「本人が笑顔を忘れず、積極的な走りをしているときに結果も出ている。名古屋は今年も国外国内とも強い選手が出場するので、本人の持ち味を出せれば、そういった選手たちと一緒に走る状況を楽しめるはず。優勝や記録を狙うというよりも、清田が攻めの姿勢を出した結果、そこがついて来たらいい」
 世界陸上の16位も、日本選手で一番最後まで先頭集団に食い下がった結果で、本人が言うほど悪い結果ではない。だが、そこに満足したら2020年はない。
 3回目の名古屋はもう一度、本来の目標である東京五輪に本気で向かうための再スタートとする。

 小原を指導する武冨豊監督が話す目標は「今回は本当の勝負というよりも、MGC出場権」と控えめだ。日本人1〜3位なら2時間28分00秒以内、4〜6位なら2時間27分00秒以内で獲得できる。MGC出場権を確保しておけば、昨年の北海道優勝&1月の大阪国際女子2位の前田穂南(天満屋)に続いて2人目となり、チームとしての強化が進めやすくなる。
 武冨監督は練習や日常の地味な部分の積み重ねが継続できない点を、小原の場合は懸念材料に挙げてきた。この1年も足首の痛みでカーブを走るときに影響が出たり、距離走で追い込めなかったりした。「年間を通じた蓄積がいまひとつできていないので、きついところでどれだけ我慢できるか」

 逆に評価するのは、「持っている能力の高さや集中力」だ。昨秋のレースではパッとしない走りが続いたが、地元の山陽女子ロードでは1時間09分26秒と自己記録に9秒と迫り、1月の全国都道府県対抗女子駅伝9区では31分38秒で区間賞。
「ここに来て練習の仕上がりも悪くありません。20kmくらいなら2年前か、それ以上になってきています。集中力はやはりすごい。都道府県のアンカーや山陽女子のときのような(集中した)顔になったら、スイッチが入っているということ」

 そこは名古屋でも、レースが始まれば期待するところだ。本当の勝負ではないと言っても、先頭がどんなに速くなっても付いて行く。
「速かろうが遅かろうが、先頭集団で行きますよ。速くてダメだったら、その力がなかったというだけです」
 天満屋は2000年シドニー五輪から12年ロンドン五輪まで、過去4人の五輪代表を輩出してきた。天満屋の選手たちが好結果を出したのは、後ろの集団から追い上げるのでなく、積極的に先頭集団で走ったときだ。天満屋のレーススタイルも、攻めのスタイルである。


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